NTTアクセスサ−ビスシステム研究所
ホーム  >  ANSL R&D Times  >  バックナンバー  >  第98号(2017_07)  >  1  >  2.ITU-R勧告P.1812-3による伝搬損失推定精度の向上
ANSL R&D Times

2.ITU-R勧告P.1812-3による伝搬損失推定精度の向上

本ソフトウェアに搭載された多様な伝搬損失推定式の中で、30MHz~3GHzのVHF帯では、ITU-R勧告P.1812-1という推定式が使用されていました。P.1812-1の伝搬損失推定では、山岳などの地形の起伏や建造物において電波が遮られる際に発生する回折損失を、送受信局間の地形情報を元に計算することで伝搬損失を推定します。(図2)この際、特に回折損失が大きくなる回折点を3点のみ抽出して計算を行うという特徴があります。そのため、卓越して建物高が高い建造物があるなど、実際には支配的な回折点が1点しかないような地形であっても、常に回折点を3点抽出してしまうために回折損失を過大に計算することがありました。

 

そこで、NTTからの多数の寄与のもとに、このような点が改善されたITU-R勧告P.1812-3という推定式を新たに搭載しましたP.1812-3では、地形情報を元に主要な回折点(仮想回折点)を1点のみ算出することで、どのような地形に対しても適切に回折損失を算出することができます。(図3)このような主要な回折点の抽出は次のように行います。

(1)送受信局間の地形の各地点に対して、送信点からの直線の傾きが最大となるものを探索、(2)受信点からも同様に、直線の傾きが最大となる地点を探索、(3)上記1と2で探索した、傾きが最大となる2本の直線が交差する点を主要な回折点(仮想回折点)として決定、(4)上記主要な回折点を用いて回折損失を計算。

このようにして主要な回折点を導出することにより、どのような地形でも適切に回折損失を計算することができます。この他にも、NTTが提案した複数の推定精度向上手法によりITU-R勧告P.1812-3は高精度に伝搬損失を推定することが可能になっています。

 

図2 従来式であるITU-R勧告P.1812-1を用いた伝搬損失推定

図2 従来式であるITU-R勧告P.1812-1を用いた伝搬損失推定

 

 

図3 新規搭載式であるITU-R勧告P.1812-3を用いた伝搬損失推定

図3 新規搭載式であるITU-R勧告P.1812-3を用いた伝搬損失推定

前
1.電波伝搬損失推定ソフトウェア
カテゴリートップ
TOP
次
3.ITU-R勧告P.1812-3導入の効果